旅とインターネット – 非効率さとオフライン [Essay]

最近の旅行では、スマートフォンが必需品となっている。コロナ禍以前は、スマートフォンを持たずに現地でインターネットから隔離された世界を楽しんでいた。しかし、コロナ禍を契機に電子的なやり取りが必須となる場面が増えたと感じる。おそらくスマートフォンがなくても生活や旅行は可能だが、その方法を調べるには多くの時間を要するため、それを避けるようになってしまう。旅行は限られた時間であり、その貴重な時間を有効に使いたいと考える。

スマートフォンがどの場面で必要かについて、過去の旅行で以下のようなケースに遭遇した。

  • ケニア
    “M-PESA”というモバイル送金サービスが普及しており、少額決済にもこのサービスが使われていた。また、長距離列車のチケットはオンライン決済でのみ購入可能で、この支払い方法が必須だった
  • インドネシア
    入国時の免税に関する申告書を電子形式で提出する必要があり、スマートフォンが必要だった
  • マレーシア
    PCR検査結果をメールで受け取り、出国時にスマートフォンでその結果を提示する必要があった

おそらく、ほとんどの場合、スマートフォンを持ち込んでいれば、SIMカードを使ってインターネットに接続できるだろう。困った際はインターネットを利用すれば、ほとんどの場合で問題を解決できる。しかし、これは本当に良いことなのだろうか。スマートフォンは小さく、どこでも持ち運べ、いつでも取り出して使用できる。しかし、効率を追求することで、旅行を最大限楽しむことができていないのではないだろうか。

旅行は効率の悪さの塊とも言える。それが楽しみであり、学びを得られる要素でもある。例えば、場所を調べる際にはGoogle Mapを使用し、写真はAirDropで送り合い、言葉が通じない場合はGoogle Translateを使う。これらのツールは便利であり効率を向上させるが、本来ならば苦労して楽しむべき場面をショートカットしてしまう可能性がある。

場所が合っているかを現地の人と話して確認したり、写真を送り合わずに見せ合ったり、言葉が通じない場合はボディランゲージで会話するなど、どうにかして対処するのも旅行の一部ではないだろうか。手軽に利用できる技術をあえてオフラインに切り替え、自力で対処することで、旅行を唯一無二のものにしたいと感じる。

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